ボラれて当たり前(前編)


前々回、香港の紅磡(ホンハム)観音廟の「観音開庫」の話について、再び書いたが、書いた本人は、どちらかというと「商業的な」観音開庫の日に長時間並んでまでお参りする気はなく、ちゃんと別の日にきちんとお参りしようと思い、先日、その日が旧暦の一日(ついたち)に当たることから、紅磡の観音廟に改めてお参りに行った。

旧暦の一日、十五日はお参りの人々が多く、その日が一日とは言っても、昼下がりに行くことになったので、そこまで混んではないだろうと思ったのだが、大外れ。狭いお寺が人混みでぎゅうぎゅう詰め。何でこんな人だらけなんだと思ったら、どうやらたまたま観光客も混ざって、ここまでの人らしい。

最近ではこのお寺、「財運」の霊験あらかたなお寺として、香港での観光名所の仲間入りをして観光客が増え、寺の前の狭い道路が大型の観光バスや車同士のトラブルが起きることも結構あるようだ。この前など、とうとう不幸にも人身事故まで起きてしまった。しかも、中国大陸からの観光客などがお寺につめかける時になるともう大変。もともとの国家の性質から、宗教の観念がよくわかっていない人たちも少なくなく、火をつけた線香やらろうそくやら、人に向けてきたり、仏像にお金を投げたり、もうめちゃくちゃ。ただここへ観光に来ているのは「お金にまつわる」お寺だからなのであろう。でも、もともとここのお寺の由来は、そういうところではないのであるが・・・。

そういえば、ここのお寺ではないが、別の近くのお寺で、仏像にお賽銭を投げつける人がいて、見かねたある西洋人が、「お金はちゃんと、この賽銭箱に入れろ」と、なぜか流暢なマンダリンで注意をしていた。あの西洋人は、一体何者だったんだろう??

で、話を戻すが、観光客で人だらけになると、普通はもうお参りをするどころではなくなるのであるが、その日は不思議なことに混んでいるにも関わらず、あまり不快感がない。結構、スムーズにお参りができる。ちゃんと、みんな順番を守り、線香も気をつけてあげてお参りをしている。よくよく観察してみると、どうやら、タイからの観光客のようであった。さすが仏教徒の多い土地柄。その時、あることを思い出した。もう10年以上前の話であるが、家族でタイに旅行へ行った時のことだ。

80年代にタイには何度か遊びに行ったものだったが、その時はそれから20年ぶりのタイのバンコック旅行。昔の記憶を頼りに、トゥクトゥクに乗って寺院巡りでもしようということになった。しかし、そのトゥクトゥクを運転しているお兄さん、やたら、あるお寺に行ったらどうかと勧めてくる。「ラッキーブッダ」があるお寺だというのであるが、そんな話、聞いたことがない。で、まあ、行ってみようかと思い、連れて行かれたのは小さなお寺。

しかし、小さなお寺でも、お寺巡りは嫌いなわけではないので、それはそれで良いのであるが、迎え入れた人はお坊さんではなく、なんか現地のヤクザっぽいお人。その仏像のところに通された。しかし、そのヤクザっぽいお人、お参りの作法にはうるさいようで、一つ一つ指導してくるのであるが、こっちもそれなりに知っているので、お賽銭を入れ、ちゃんと作法に乗っ取りお参りをしたら、その様子を見ていたヤクザっぽいお人、自分たちを連れて来たトゥクトゥクのお兄さんと何かコソコソと真剣にお話をしている。そしてその後、トゥクトゥクのお兄さん、「じゃあ、次どこに行くか?帰るか?」と聞いたあと、こちらの希望の場所にまで連れて行ってくれた。「一応、お土産店もあるが・・・行かないよな。」とこちらの返事を聞く前に自分で答え、そそくさと、目的地まで送ってくれた。値段も逆に恐ろしいくらいすごく良心的であった。

それから数年後、高額な宝石などを買わせるという「ラッキーブッダ詐欺」が有名になり、あの時実は、詐欺に会う手前であったことを知る。じゃあ、どうしてあの時、相手が自分たちにその詐欺を仕掛けてこなかったのだろうかと考える。

彼らはお寺を舞台にして詐欺(まがい)のことをやっているわけだ。お寺に対して「単なる観光目的で信心深くもなく、失礼で金満で欲深な観光客」からお金を巻き上げても、それはその観光客に対する「天罰」であり、詐欺師たちも、ちゃんとした「観光ビジネス」で、騙しているわけではないといったところなのであろう。
つまり、彼らは、「ボラれて当たり前」と判断した相手に対して、特に大胆に行なっていたのではないのだろうか?

ボラれて当たり前(後編)に続く。

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“ボラれて当たり前(前編)” への2件の返信

  1. すみません。書きかけは、大量にあるのですが、体調も含めて、書けない事態が、続いております。こういうコメントをいただくと、まだご覧になられている方もいらっしゃれるんだなと、そういう方たちに感謝しております。もともと、「静か」に、本人のリハビリのために、再び書き始めたものだったのだったのですが、色々難しい世の中です。いつかは、爆弾的に書くかもしれません。とりあえず、近いうちに、少し更新します。

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