どっちが危ない?

時は80年代の香港。ある日暮れ時、金鐘(アドミナリティ)から銅鑼湾(コーズウェイベイ)寄りの湾仔(ワンチャイ)のある場所に向かうために、ミニバスに乗っていた。その頃、その区間の道路の混雑は、凄まじかった。とにかく、異常な混雑のためになかなか前に進めない、のろのろ運転。しかもその乗ったバスは、特に著しくのろかった。しかし運転手は妙にハイテンション。ウォークマンを聴きながらバスに乗っていて気がつかなかったのだが、なんだかよくよく見てみると、どうも独り言をあれこれ大声でしゃべている様子。

そのバスに乗っていた満員の乗客達は、異変に気づき、たぶん目的地でもないのに、ひとり、ふたりと降りていく。しかし、「なんだか面白いそう」と思った当時怖いもの知らずの自分は、そのまま降りなかった。今度は、その運転手、ドアを開けっ放しで走行する。この「攻撃」に、またもや数人降り、気がついたら、バスの中には運転手も入れて3人ほどしか乗っていない。どうやら運転手、酔っ払っているみたいで、酔いさましのため、ドアを開けたみたいだ。とにかく大変だったが、それでもまあ、乗っていたのは、運転手のテンションこそおかしいが、運転自体は意外に安全運転だったからだ。

80年代の香港に来て、とにかく今だったらとうてい考えられない、まるで香港の昔のコメディ映画のような「めちゃくちゃな」体験をしまくり、このような交通関係なら、タクシーでもしょっちゅうあらっぽい運転のタクシーに出会ったりしたが、ただ、みんな腕前はそれなりすごくて、事故や本当に危険な目にはあったことはなかった。まあ、運が良かっただけかもしれない。

それでも最近の香港の交通はその時より怖い。道を歩いても怖い目にあうことがある。 →「どっちが危ない?」の続きを読む