やっと少しは「競争」が始まった


3年ほど前に、香港で「759阿信屋」が誕生してから、ずっと注目している。そしてファンだ。
最近は、日本のおいしいお菓子などの食料品が、まるでここは日本かと思ってしまうぐらい大量に、そして安く販売されているということで、口コミで、日本人の間でも騒がれるようになったが、出来た当初は、まさか、ここまでになるとは思わなかった。それどころか、途中で潰れてしまうのではないかとさえ思った。

会社名は「CEC國際控股」。「阿信屋」の前の759という数字は、香港株式市場の会社のコード番号でもある。1979年の設立当初は、「高雅電業公司」と言って、その名が表す通り、電子部品関係で、元々、食料品店を経営している会社ではない。
店名の「阿信屋」とは、まさしく「おしん屋」であり、日本のNHKのあの「おしん」をヒントにしてつけた名前だ。

ただ、この会社のこの事業での「短い」歴史は、「圧力」との戦いだ。

「激安店」と言われるが、最初から今まで、私個人としては、「激安店」とは全く思っていない。
ただ、「良心的」で「リーズナブル」な、そしてとても「フェア」な価格で販売している店だと思う。
逆に言えば、香港の小売をかなり占める、おなじみの「二大勢力」が、あまりに、「あこぎ」すぎるだけなのだ。それに、通常、他社は、逆らわず、逆にそれに乗っかかっている形なのだ。
そりゃ、安く売るより、高く売った方が利益が出るから良いに決まっている。
それに家賃の高騰。まともにやったって利益など出ない。儲かって来たら、そこの不動産のオーナーが、家賃を突然、ぼったくりのように上げるという構図。

正当な「競争」をしようとする会社は、最初から締め出そうとする。
最初、ここの店の品数は、残念ながら、とても豊富とは、言い難かった。
何故なら、まずメーカーからの圧力が、かかったのだ。

安く仕入れたものは安く売る。それは当たり前だが、メーカー側が店側が安く売るので、お前の所には商品は卸さないという「圧力」がかかったのだ。

しかし、この会社、そのピンチの中、海外のお菓子の中で「良い商品」を輸入販売するようになってきたのだ。
ちょうど、その頃のユーロ安もあって、かなり安くて質の高いお菓子などを仕入れることができる。

そして出店を加速。(この会社自体、不動産投資もやっている。)
かなり大きなロットで買えるようになるから、当然、価格交渉なども、おこないやすくなる。
その努力があって、その「阿信屋」を締め出したメーカーすら、商品を置かして欲しいと、逆に言ってきたそうだ。

そして、次に、日本のお菓子などの食料品に目をつけた。日本の商品を次々と置いていく。
どういう仕入れの経路で広げていったのかは、わからない。また、そこの競争相手等、ここで詳しく触れるのも問題があるので、書かない。ここでも、いろいろと「圧力」があったことは、容易に想像でききる。
ただ、円高で、しかも海外に活路を見出したい、特に地方のお菓子メーカーなどを中心に品数を増やしていったようだ。

しかし、そこで、あの日本の地震と、原発問題がおこった。またしても危機がこの会社を襲う。
日本のお菓子を販売している他の香港の店は次々と消えていった。

「阿信屋」もその頃、結構、顧客数が減っていたようだ。日本の販売商品も減っていったが、ゼロにはしなかった。
しかし、時間とともに、顧客は戻ってきた。そのタイミングを見て、日本の商品数を、どんどん増やしていった。日本の大手菓子メーカーも商品を卸始めた。
その頃、ここくらいしか、積極的に仕入れないからだ。

お菓子だけではない。その他の食品も、「阿信屋」は仕入れていく。質が高い商品を。まさしく、ピンチをチャンスに代えたのだ。

いつの間にか、日本の食料品スーパーのようになる。それを見ていた、韓国勢、台湾勢の大手も当然、ここに近づいていく。商品数も増え、そして、一層の出店加速。
生活必需品も置き始める。

それを黙って、香港の「大手」が見ているわけはない。ますます、「脅威」になっていく。当然、ネガティヴ・キャンペーンを実施する。

「ここは、不当に安い値段で販売し、小さな店を潰そうとしている」やら、「売れ残った商品を廃棄している」とか、「お前が言うか?」と、笑ってしうようなことを、厚顔無恥にも大手は言ってのけ、攻撃した。

ただ、「阿信屋」は、逆に「不当に安く販売していると言われているが、じゃあ、仕入れ値段を公表します」と言って、本当に公表してしまった。慌てたのは大手。実は、彼らが、「暴利」を貪っていたのがバレてしまったからだ。

ようやく、大手も、このままではマズイということになり、「真っ当」な、価格で販売し始めてきた。「阿信屋」が、やっと香港の小売業界に大きな風穴をあけてくれた。
ある意味、本当の戦いは、これからなのであろう。

日本のメーカーに関しても、香港の「阿信屋」は、貴重な存在かもしれない。
香港の消費者は正直だ。本当に良い物は、一瞬で売れていく。この会社の商品の動きを見ていると、香港の消費者が何を求めているか、一目瞭然にわかってしまう。それは、日本が考えている消費動向とは違うかもしれない。しかも、それを買っているのは、一握りの富裕層でもない。そこも重要なのだ。

消費者としては、本当に良い物を安く買えればそれでいい。
日本の本当の「おしん」の息子が残念ながらできなかったことを、今、ここが、やろうとしているのかもしれない。
そして、次の香港での「不公平競争」が残っているある食料品も置き始めた。
これからも目が離せない

(追記) 2018年8月18日、CEOの林偉駿氏がお亡くなりになられました。ご冥福をお祈りいたします。

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“やっと少しは「競争」が始まった” への3件の返信

  1. 読んでいただき、ありがとうございます。
    もうこの話を書いて3年ほど経ちますが、未だにこの話を読まれる方が多いみたいですね。
    この話を書いてから、阿信屋は本当にメジャーになりました。今や香港で知らない人は、まず、いないでしょう。あれからの円安もここの発展に大きく寄与したかと思います。

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